事例1 はじめに | ||||||||||||||||||||||||
本症例はH19年3月31日、脳梗塞により右片麻痺と失語症で発症し、回復期リハビリ病院で集中的な訓練が終了し、2年が経過した症例です。 現在、右下肢は一本杖で自立していますが、失語症は重篤な障害が残存し、現在も週に1度、外来で言語訓練を受けています。 H21年3月より「言語くん」を使用し、1ヶ月後にWAB失語症検査を実施いたしました。その後3ヶ月毎に失語症検査を実施し、3回目のH21.10.11には失語指数が初回の22.4から44.2まで向上した結果を得たので、報告します。
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失語症検査結果 | ||||||||||||||||||||||||
WAB失語症検査の結果、混合失語が認められました。 自発語は、感情語「ちくしょー」や、常套語「いや・そうそう」が中心で、復唱は3〜4モーラが可能なレベルでした。特に呼称については重篤でした。 数字でもおわかりの通り、「自発話」が1.5点、「復唱」が2.7点、「呼称」については1.3点でした。しかし、「話しことばの理解」や、「読み」と言った理解の過程については、比較的保たれていました。初回時の失語指数は22.4でした。
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言語訓練と、2回目以降の検査結果 |
訓練はもちろん「言語くん」を使用していただき、1日40分を目標に毎日自主訓練をしていただきました。 訓練内容ですが、高頻度語の2モーラから始め、まずは書くこと(写字)、そして書いた文字(漢字・仮名)を音読していただき、その後呼称訓練と、一定のパターンで訓練を行うことを約束し、その手順で繰り返し毎日行っていただきました。(尚、パターン化した訓練は特に妻に対して指導を行い、協力を戴いた) そして3ヶ月が経過し、H21年7月18日に2回目の失語症検査を行いました。その時の失語指数は34.8でした。 表や数字でもおわかりの通り、全体に症状の改善が見られましたが、特に「呼称」では改善が認められました。検査は3ヶ月毎に行い、検査終了後はその都度「モーラ数を増やす」など、新たな課題で指導を行いました。 3回目のH21年10月11日には「自発話」が大きく伸び、失語指数も初回の約倍、44.2まで向上しました。 |
おわりに |
失語症は、発症後数年が経過していても、ご本人に「やる気を起こさせる環境」を提供して上げることで「心が動き」、短期間でもこのように改善して行くものと思われます。
特に中等度〜重度な失語症の場合、「家造り」に例えれば、回復期リハ病院入院中での言語訓練は、「基礎造りの段階」です。「柱を立て、棟上げをしていく」のは、現在の医療制度化では退院してからです。 しかし、現実は退院後外来でのフォローも時の経過と共に減少し、それに伴い失語症状も固定化して行きます。私は「失語症友の会」で「言語くん」を使用して戴き、改善した症例を多く見ていますが、その訓練器を用いたことで再度「心が動き」、言葉の生成等に繋がったもの考えます。 そして次のステップとして「一歩社会へ踏み出す」チャンスを提供して上げること、これは「失語症友の会への参加」等で、同じ立場の人が前向きに生き生きと生きている姿を共有して戴くことで更に「心が動き」、個々に次の目標に向かって努力して行きます。 そして最後に、ご自分の「活動範囲の拡大」へと繋がって行きます。 どうぞSTの皆様、維持期・慢性期と言われている中等度〜重度な失語症の方々に「言語くん」を提供し、「心を動かす」きっかけをお作り下さい。
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